【命の力を育てる】って、ピアノレッスンに何が関係あるのだろう、と思われるかもしれません。
実はこれは、私のピアノレッスン、だけでなく、子育てや教育、全部の「軸」でもあります。
長文になりますが、ぜひお読みください。
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【命の力、子どもが元々持っている、育つ力】
赤ちゃんが生まれてきて、やがて幼児に育つ。
その間、親御さんは、「子どもが育つ命の力」の素晴らしさを日々、感じて子育てをされていることと思います。
しかし、現代的な生活の中では、どうでしょう。
幼い子どもに、本来の子どもの命の、そのままの力、つまり「身体」や「感覚」よりも、この社会に早くなじめるようにと「知的なこと」を、早く教えて学ばせることが普通になっています。
早期教育、だけでなく、ピアノ教育においても「知育」というものがよく言われる世の中です。
テレビだけでなく動画やデジタル的な音声、リアルな体験の前にバーチャルな体験が簡単にできてしまう時代。小さな子どもも、スマホを持って操作する時代です。
しかし、子どもの命の成長は、文化や時代が変わったからといって、本来、変わらないのではないでしょうか。
子どもが育つのは、身体からです。身体を通したひとつひとつの「生の体験」が子どもを育てます。
暮らしの中で、手足を動かして体験したこと、
大きい子や大人をまねて、家事のお手伝いをやってみる、
身近な自然や、生き物に出会った感動、
遊びながら自然と、歌う歌。
【写真:アウリスのグロッケン。 美しい響きの5音音階です。うたあそびからの導入レッスンに使います。】
知育や早期教育で知的なテストに答えられたとしても、いきいきとしたリアルな体験を、子ども自身が感じられていなければ、それが子どもの本当の幸せな成長に繋がるのでしょうか。
人の成長には、時期があります。シュタイナーは、知的なことを学ぶのは、7歳以降だと言っています。それも、身体を使って体験を通した学びからはじめます。
【私の理念は】
長年(34年)子どもたちにレッスンしてきたこと、シュタイナー教育を学んで実践してきたこと、
二人の子育て。
そして子どもにシュタイナー教育をと考えるお母さんたちのサークル活動をしてきたこと、
子どものありのままの成長を応援する視点で保育に携わる、仲間たちとの交友。
そんな経験から、私の理念は生まれています。
私は、小さい子のピアノ教育にも、まずは
「命の力を育てる、根っこ育て」を大切にしています。
ピアノ演奏は身体を使った、高度な身体パフォーマンスです。
グランドピアノを美しい音を出す、それが難しいから、触れば音の出るキーボードや鍵盤ハーモニカにドレミのラベルを貼って、押さえる場所を教えてしまう。
お手玉や、手遊び、暮らしの中で手足を動かす家事のお手伝い、それらの体験ができていないのに、先にピアノを教えるのは、順番が違うのです。
暮らしの中で歌って遊んで、もう少し身体づくりをしてから、
本物のピアノに触れて、生の響きを聴く。そのイメージで(お家では電子ピアノだったとしても)ピアノに出会っていく。
そういう、無意識に働きかけるような体験をしていくこと。それが、命の力を育てる
(=それを邪魔しない、ということでもある)ことだと考えます。
楽譜も、本来は「絵のように」見るものです。
大人が作った幼児向けの、イラストの可愛いテキストを使う前に、まずは
スケッチブックに自分や、先生やお母さんの描いた「音の絵」を見て弾く、
そんな根源的な体験も、目には見えない無意識への働きかけとして、子どもに残っていくものと考えます。
【写真:黒鍵を広い音域で使っている曲の後半。
連弾で、美しく楽しい音楽になります。】
急がなくても大丈夫!必ず、その子らしく、成長していかれますよ。
実際に、低年齢から始めても、小学校1年生から始めても、結局のところは、本来その子の持っているもの、そのままが育ちます。
そして、それが一番その子にとって幸せなのです。
その子のありのままを、よく見る、ということが何より大事です。
「本当に」楽譜が読めて、理解して弾けるのは、時期があります。
おとねっこピアノ教室では、ソルフェージュ力もつけながら、そのお子さんの時期をみて、
幼稚園年長から段階をふんで、楽譜を読む導入、小学校1年生からはしっかり自分で読めるようにしていきます。
そしてどのお子さんも、「美しい音で弾く」身体づくりをしています。
ピアノを弾く身体づくり(それは、身体にとって自然な動き)、じっくり体感して理解、そして、「本当の力」をつけていきましょう。
お子さんの育ちを、どうぞ、長い目で見てください。
中学生、大人になっても、本当にピアノを習っててよかった。
今もピアノが大切な友だち。弾く時間が、自分を癒してくれる時間。そう言えたら、何より素敵ですよね。