おとねっこピアノ教室  

川西市向陽台の個人ピアノ教室です。「ピアノで幸せに!」を願ってレッスンしています♪ お問い合わせはホームページ http://kaoripiano.jimdo.com/ まで。

ピアノと身体の話 [その4]

その頃、ふと、本屋で手にした本がありました。

それは、「心身統一合氣道会」(当時は、氣の研究会)の宗主の著作でした。

武道など、興味をもったこともない。そんな本を手に取ることさえ初めてでした。

直感的に、ピアノの演奏に役立つのでは、と感じて、買って読みました。

 

「臍下の一点に心をしずめ、統一する」「全身の力を完全に抜く」

「身体のすべての部分の重みを、その最下部におく」「氣を出す」

これが四大原則とあります。

シンプルな「氣のテスト」で、心身統一できているかがわかるといいます。どんなジャンルにも役に立つ稽古であると。

本を夢中で読んで、すぐに問い合わせの電話をしました。

 今思ってもそのときの行動力が不思議なのですが、あとになってわかることは、それはあらゆる意味で、私の人生にとっての転換点でした。本に引き寄せられた直感は、正しかったのです。

 

そこは、合氣道の道場でした。

武道というものと全く縁のなかった私が、そこから稽古に通うことになります。

ここで、心と身体の使い方について基本的なことを、本当にしっかりと学びました。

(結局、合氣道の技そのものは、初心者のレベル以上には上達しませんでしたが。)

 合氣道のクラスの前に、「統一道」というクラスがありました。そこで、「心身統一」を学びます。あらゆるレベルの人と稽古し、クラスで親しくなった友人や先生たちと、道場を出てもお付き合いが増え、日々全てが学びでした。

 

何ごとについても「達人」と言われる人は、身体の使い方に上達しています。身体の中心軸がしっかりとあり、余分な力は抜けています。

私も武道的な身体の使い方を知り、見方を学ぶうちに、人の身体の使い方の観察をするようになりました。

見て、立ち方、歩き方、姿勢、物の持ち方、腕や手の使い方はどうか…その状態が、ずいぶんわかるようになりました。

たとえば侍が刀を構えて立つとき、その立ち方、刀の持ち方を見ただけで、その人の実力のレベルがわかるといいます。

 現代でもトップレベルのアスリートたちや、ダンスなどのパフォーマンスなどをよく見れば、身体の中心軸や重心、余分な力の抜け方やそのパフォーマンスに必要な身体の使い方が観察できます。上達した人は一様に、動きがしなやかで美しいことがわかります。

反対に、余分な力みや歪みがあり癖になると、身体の不調や老化にもつながる。

身体の使い方が、動きの効率や良し悪し、美しいかそうでないかにつながり、動きをしているときの「ラクさ」「しんどさ」にも違いが出ます。

 

道場では「重みが下」と習い、稽古します。これを、ピアノの場合どうなるか書いてみます。

ピアノの鍵盤の上に構えた腕なら、前腕部は手の平側からつながる側に、重みがかかります。その重みが自然に指先に、そして鍵盤にと伝わると、美しい音が出ます。

逆に、手の甲側(上になっているほう)にほんの少しでも余分に力が入ると、その緊張が上腕部に伝わり、肩に伝わり、身体がかたくなり、音もかたくなります。

続きます。