どんなふうに「ピアノと身体」について探求しはじめたか、について書いていきます。(長い文章になります。)
それは音大卒業後、学生時代の友人達と毎年、ジョイントコンサートを開催して演奏活動を続けていた頃です。
自分の演奏について、何かうまくいかない。思い通り身体が動かない。本番で力が出せない。という思いに悩まさせていました。
うまくいかない理由は、ひとつは、生まれ持った体質。もうひとつ大きなことは、身体の使い方をわかっていない。というものでした。この、「体質」についてはまた、後ほど書きます。
私は、小学校卒業と同時に、音大の先生に師事して、以来学生時代を終えるまでずっと、門下生として教わってきました。
ところが、卒業してから(在学中にもうすうす気づいてもいましたが)、「身体の使い方について、本当に全く、教わったことがない」ということに気がつき愕然としました。かなり衝撃的なことでした。
必要な筋力だけを使い、余分な力を抜く。指だけでなく手首や腕をどう使う、音楽的表現と結びついた身体の使い方…
そういったことを、全く教わったことがなかったのです。レッスンでそういったアドバイスをもらったことさえ、ありませんでした。
そういう教えに恵まれなかったこと、それは「運」としか言いようがありません。
しかし気づいたからには、もう大人になっていた私は、自分で捜し求め獲得するしかありません。
それ以降、ほかの数人の先生のレッスンを受けたりしながら、徹底的に自分の身体と向き合い、演奏する身体を根本から作り変えるために、必死の練習をし始めました。ピアノを弾いている時間以外の、たとえばお風呂に入っているときも、腕の力の抜き方、コントロールの仕方の探求です。
次第に、余分な力が抜けてきて、ピアノの鍵盤と身体とのつながり、鍵盤がつながってハンマーが弦に当たり音が出るところまでを意識して身体を使う…そう進歩してきました。
練習がしんどい、身体が思うように動かず演奏がうまくいかない、…
こういったことは、身体の使い方の癖にある、ただ使い方に気がついていないだけだと、今はわかります。
ここから、始まったのでした。(続きます)