おとねっこピアノ教室  

川西市向陽台の個人ピアノ教室です。「ピアノで幸せに!」を願ってレッスンしています♪ お問い合わせはホームページ http://kaoripiano.jimdo.com/ まで。

卵のかたち?

ピアノを弾く手は、「卵のかたち」、

「卵を握ったような手のかたち」で弾くのが正しい、

というふうに、習う人も多いと思います。

私も子どもの頃、そう習いました。

 

けれど、実はそれは違うんです。

 

「卵を握った手のかたち」のフォームで鍵盤に手を置くと、

指先の、鍵盤に触れる部分が、爪の近くになります。

物をつかんだ形の手は、指先を内側に巻き込んだようになり

腕の筋肉の使い方も、自然に腕の重さを伝えるフォームとは違ってきます。

 

そして小さい子に、この形、と教えると

まじめにやればやるほど、「かたちを作ろう」として、

余分な力を入れて弾いてしまいます。

特に、手首から腕の余分な力が入りやすく、

それが癖になってしまいやすいのです。

 

「手を丸くしましょう」

という指導をされることも、

まだよくあるようですが、それも、違うと思います。

指の3つの関節すべてを、凹ませない(外側に出す)

という意味では、いいのですが。

 

フォームは、音の響きと表現のために合理的なのであって、

「かたち」が大事なのではないのです。

 

「かたち」を優先するために、間違った

(=筋肉に負担をかける、からだの動きの視点からは合理的でない)

弾き方が、癖になってしまいがちなのです。

 

私がお伝えしている「奏法」で、最初に大事にしていることは、

鍵盤の上に手を置いたときに、

肘から手首までの、上側になる筋肉を「固めない」

ということ。

 

指先の、鍵盤に触れる部分

(=タッチポイント。基本的には指の先と指のハラの間)

に、「腕の重さを乗せる」こと。

 

手首をやわらかくして、鍵盤に重みが乗るように

音が響くように打鍵して、

音が終わるときに手首をもとにもどす。

 

まずその感覚をつかむのが、誰もすぐにできることではありません。

練習です。

それが奏法の第一歩です。

 

ピアノ導入期の小さいお子さんには、

こんなふうに、奏法をお伝えしています。

 

まずは、重みを乗せる感覚がつかみやすい、

2の指(人差し指)や3の指(中指)から始めます。

その一本指だけで、ピアノの音が響くように、

「ポーン」と鳴らす。

それを丁寧に練習します。

 

もちろん、動きだけでなく音楽なので

音楽的なリズムや流れも体験して身につくよう

曲の練習、連弾でハーモニーも聴けるようなレッスンも、大事にしています。

 

が、奏法第一、悪い癖をつけないことが大事なので

習う最初から、何かの曲のドレミを覚え、どんどんいろんな曲を覚えながら弾く、

というレッスンにはなりません。

 

レッスンで、じっくり打鍵のしかたを練習しているので

とても自然なフォームで、丁寧に弾く〇〇ちゃん。

幼稚園で鍵盤ハーモニカを弾くとき、「たまごのかたち」と習ったそうですが、

ピアノはレッスンで身についているフォームで弾けています。

 

鍵盤ハーモニカは楽器じたいが小さくて鍵盤も軽いので、わかりにくいですが

ピアノは、内部で弦を打つため、打鍵によって音色も変わります。

また、お子さんが成長して、曲の音数が増えてきたとき

基本的な奏法が身についているかどうかか、大きな違いとなってきます。

 

手の形を固めて弾くような指導から

手の甲側につながるほうの筋肉を固くして弾く癖が

つきやすくなるのですが

あとで、自然にからだを使う奏法を身につけようとすると、

一度ついたよくない癖を直すのには、根気が要ります。

(小さい子のほうが早く直ります。)

 

子どもたちが、

無理のないからだの使いかたで、ピアノの奏法を身につけられることを

願っています。