「あぁ、こんなふうに、ていねいに…。」
ピアノレッスンのあと、見ておられたお母さまが
感慨深げに、おっしゃいました。
その日のお稽古の内容と、指導の目的、
お子さんの今のようすなど、お伝えしたときです。
○○ちゃんは、
3~4回のレッスンで、ずいぶん腕がやわらかく使えるようになりました。
「子どもは癖が直るのも早いですね。ずいぶん変わりました。」
とおっしゃいます。
冒頭のお母さまの「こんなふうにていねいに」という言葉は、
楽譜のよみかたもこうやってていねいに、
一歩一歩確実にわかるようにすすめているのですね、
という意味で、言ってくださったのです。
「思えば、前に習っていたときは、
どんどんテキストは進んでいっていましたが、全然わかっていませんでした。」
とのことでした。
5歳で体験レッスンにいらした○○ちゃん、
3歳から他教室で習っておられたそうです。
弾き方にかなり癖がついていて、
腕や手首、身体に余分な力が入って硬くなっていました。
習っておられたテキストを開いて弾いてくれましたが、
楽譜は、全く意味がわからないようでした。
レッスンは、今までと全く違ったやりかたですすめてゆき、
身体のつかいかたのレッスンをたくさん入れて、
楽譜は、五線譜を読む以前、スケッチブックに色鉛筆で描いた、
絵のような譜を見るところからはじめる…
ということをお話ししました。
お子さんは今まで「普通のレッスン」を受けてこられたのに
ご理解いただけるかどうか…と思いましたが
お母さまが、とてもよく理解してくださいました。
そして、
○○ちゃん自身も、集中力もあり、かつ楽しんでお稽古して
着実に、一歩一歩すすんでいるのです。
腕や手、指の使いかたはどうか
目はどう動いているか、本質的に理解できているか
ひとつひとつ、子どものようすをよく見て、すすめます。
音楽面、身体の使いかた、楽譜を理解すること、
頭と身体のむすびつき、全部のバランスが大事なのです。
ピアノを習いはじめたらすぐに、知っている曲が弾ける、というほうが
一般的には、親御さんには受けがいいのかもしれません。
それに対して、私の教室での導入期のレッスンは
ゆっくりゆっくりしたペースで進むように見える、と思います。
今まで体験に来られた中に、他教室と比べて普通のやりかたでない、と思われた方もありました。
(私ももっと若い頃は、「普通の」導入期レッスンをしていたのですが。)
しかし、お母さまのご理解あって
また、ご縁あって入会くださったお子さんたちは
ほんとうに無理なく着実に力をつけて、それぞれのペースですすんでおられます。
さて、「身体の使いかた」カテゴリの記事を書いて、
今朝書いた「うたごよみ」の記事まで、しばらく、更新に間があいてしまいました。
この記事とも関連があり、
小さい子のお稽古始めの時期も大事だという話ですが
次に書きますね