「目指すところへ方向性を持ちながらも、今この時点での完璧を目指しすぎない」
これ、レッスンでの姿勢として私が最近思うことなんです。
もっとずっと以前は、生徒さんには「本質的な力をつけてもらいたい!」の一心で、レッスンでも生徒さんの弱点・欠点・足りないところを、すぐに直したい!とがんばっていました。
今、子育てしていても感じるのですが、子どもは大人からも尊敬するべき、可能性に満ちた「輝く存在」。
今この時点で、何かが「できる」ことだけに目をやるのではなく、今この時点での「体験」を大事に、そして「可能性」に注目したいのです。
ピアノのレッスンでは、ほんとうにやることがたくさんあります。いくつもの角度からのお稽古が必要です。
ピアノの演奏をするということは、
楽譜を目でみて、音をよみ → どう弾くかイメージして →
それを手や指に伝え → 鍵盤を弾く → 音を聴く
という、心と身体の連携プレイです。
「楽譜を目で追いながら弾く」ということは、とっても高度な身体活動なのです。
それを合理的に、できるだけ「近道」で目標に近づけるようレッスンではお伝えしていきます。
とはいえ、実際は、子どもは(大人も)ひとりひとり、それぞれ違い、得手不得手も、さまざま。そしてどんなやりかたが向いているかもそれぞれ違います。
誰もが同じようにはすべての面からの能力がつくわけではなく、ひとりひとりに合わせて、お稽古のやりかたを考えていくほかありません。
楽譜と鍵盤、音が一致するように日ごろからお稽古してきたお子さん。日ごろ、着実に力がついているのを確認しながらすすめてきました。
でも、いつもよりちょっと背伸びした曲が弾きたい!というとき。まだその曲の楽譜を目で追いながらは難しい。けれど意欲は大事にしたい。
もしもこういう曲を、教師のほうからちょっと無理させて、与えて弾かせるというのなら、あまりよくないでしょう。
本人がやりたい!という意欲が大事なんです。
教師が「こういうふうに気をつけて、これこれこういう練習をもっとして、力をつけてほしい!」…と言い過ぎないように、「今の時点での完璧を目指しすぎない」と心しています。
まず、「方向性が間違っていない」ことがわかっているから。
そして子どもたちは、可能性に満ちているのですから!
ピアノの魅力を感じ、いい体験をして、楽しくお稽古するのがいちばん!!
それを積み重ねていると、いつのまにか「できる」につながっていきます。