おとねっこピアノ教室  

川西市向陽台の個人ピアノ教室です。「ピアノで幸せに!」を願ってレッスンしています♪ お問い合わせはホームページ http://kaoripiano.jimdo.com/ まで。

ピアノと身体の話 [その7]

「上達力」という言葉があるとします。

何かを習得するのに、すばやくコツ=その動きの本質、をつかみ、上達する力。

(ちなみに、コツという言葉の語源は、「骨」だそうです。物事の勘所や要領、本質を見抜き自分のものとする、との意。言葉はもともと、身体と結びついていたのですね。)

 

上達力が高い状態とはどんな状態でしょうか。

経験したことのない動きを新たに習得する場合です。

一般的に、大人より子どもの方が上達が早いジャンルが多くあります。ピアノもそのひとつでしょう。その違いは身体なのです。

身体が柔らかくゆるんでいる、固まっていない状態だと上達が早いということです。

 

上達力は、「努力」や「根性」で、頑張って練習して獲得する、というものとは全く別のものです。コツがつかめないから、根性で頑張って頑張って、練習しなければならないのです。身体の使い方の効率が悪く、かたいので、なかなかうまくいかず、結局やっていて「しんどい」という結果になります。

 

人は成長するにつれ、そして大人になって年齢を重ねるにつれ、「癖」を身につけていきます。

動きを制限し、同じパターンになり、かたい身体になる。

運動なり演奏なり、身体的な動きをともなうもの(作業や家事でも同じです)すべて、そういう身体の状態だと、やることがしんどい。練習自体がしんどいのです。

 

逆にやわらかい身体だと何をしてもラクで、上達もしていきます。

そういうときは、練習それ自体が、身体との対話でもあります。(意識が内側にむいているという意味ではありません。外に広がっているのですが、内側にも「氣づいている」状態です。)外からは一見、同じ繰り返しをしているようでも、本人の感覚は研ぎ澄まされ、一回一回が動きの試行錯誤であり、練習そのものが面白くて、自然と上達していきます。

 

赤ちゃんは、その意味で上達力の天才といえます。

寝ていただけの赤ちゃんが、自分で動きを獲得し、あるとき寝返り、這い始め、立った姿には感動させられます。

赤ちゃんが飽きもせず同じ動作を繰り返しながら、つまり練習し、ある日、それができるようになる。それは、その動作が「しんどくない」、そして「楽しい」から、繰り返し繰り返し「練習」できるのでしょう。

 

私も、身体をすっかりつくり変えたからこそ、実感としてよくわかります。動きがうまくいかない、練習がしんどいときの身体は、自分で自分の身体の中が細かくどうなっているのかが感じられていないのです。

 

身体がやわらかくゆるんできて、自分で自分の身体の様子、そしてピアノの中、音が出るまでのつながりを意識でき、細かく細かく氣づくようになってくると、一回一回の練習が、どんどん身体をやわらかくし、新しい動きの探索となります。ピアノの音も毎回変化していくので、面白くてしかたなくなってきます。

今は本当にピアノが楽しい。主婦でもあり子育て中の身ですから、学生のときのようには練習時間は取れません。でも、一回一回が身体とピアノの音との一体化であり「氣づき」なので、面白くてしかたない状態です。

これが学生時代ならどれだけよかっただろう、と思うことも正直いって、あります。

けれど、そういう経過があったからこそ、私には伝えられるものがある、と自負してもいます。

ピアノのレッスンでみていても、その人の身体の状態が、とてもよくわかるのです。